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五月大歌舞伎夜の部/新橋演舞場 [歌舞伎]

五月大歌舞伎  新橋演舞場
平成18年5月1日(月)~25日(木)
夜の部
一、 増補双級巴  石川五右衛門
中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候 石川五右衛門 吉右衛門
ニ、 京鹿子娘道成寺  白拍子花子 福助
三、 松竹梅湯島掛額
******************************************************************
5/15(月) 新橋演舞場、4時半開演。仕事している人には厳しい開演時間。
お弁当を買いにデパートへ行く時間がなかったので演舞場そばのAPで。
ちょっと寂しいけれど仕方ありません。。。食欲よりも吉右衛門さま☆
去年演舞場が新しくなってから二階ロビー階段脇のカウンター席とか
廊下のソファーも増えたような気がしてありがたいです。


<ネタバレあります>

一、 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ) 石川五右衛門
<序幕 大手並木松原の場>
次左衛門( 段四郎さん)=五右衛門の育ての親が、五右衛門の行方を案じている。
段四郎さん、かなりの長台詞もばっちり。子を思う親心を切々と訴えます。
五右衛門の手下登場、いかにも胡散臭そうな盗賊装束。ちょっと説明っぽい台詞で
勅旨の書状を盗む算段をしていると、勅旨の行列が松林にさしかかります。
お勅旨は呉羽中納言(桂三さん)、ほんわかした雰囲気がお公家さんらしくて
「追いはぎのようじゃが、何者じゃぁ~?」なんて台詞ものんびりしてて
ぴったり!かわいそうに装束までみんな盗られてしまって下着姿にされちゃいます。
戻ってきた供の行列と下着姿で花道を帰っていきます。可哀相なんだけど
笑ってしまう、なごやかな場面。花道でも楽しませてくれます。
盗賊が五右衛門の手下と聞きつけた次左衛門は、五右衛門に合せてくれるように
頼み、盗賊を追いかけていきます。

<洛西壬生村街道の場>桜の背景がきれい~
花道からカゴと供のものたち、ぞろぞろと。下手奥にカゴを据えると
中から出てきたのは、染五郎さま~☆黒に金銀の裃、白の着物と豪華な衣装。
此下久吉(染五郎さま)と供の者たちでした。その前をお勅旨の行列が通ります。
実はこのお勅旨=石川五右衛門(吉右衛門さま)先ほど手下が盗んだ書状と衣装で
すっかり化けているのです。貫禄たっぷり、見得たっぷり。
花道で舞台の久吉たちを少し振り返り、ニヤリ。悪いコト考えてるよ~。
勅旨の行列が過ぎた後を次左衛門が追いかけてきます。幼名を呼ぶ声に久吉は
先ほどの勅旨の正体を見破り、次左衛門を捕まえます。

< 足利館別館奧御殿の場>金ぴかの豪華な奥座敷。
お女中が勅旨が来ると噂話をしている。
ニセ勅旨とは知らず三好長慶(歌昇さん)三好国長(信二郎さん)がお出迎え。
吉右衛門さま~☆迫力、貫禄。座敷奥にでんっと構え、三好兄弟に将軍が
宮廷を蔑ろにするのでなんとかの印を持って帰るのでだせ!と迫ります。
三好兄弟ダジダジ、さあ、さあ・・・というところへ久吉(染五郎さま)。
勅旨の供応役を買って出ます。で、みんないなくなった座敷で、オレだよ、オレ
オレオレ詐欺ではありませんが、お互い名乗り合い、懐かしい話に花が咲きます。
さすがにこの場は、吉右衛門さまと染五郎さまでは幼馴染ってムリがあるかも。
見た目の貫禄、年齢差は否めないものの、存在感では負けてません。
座敷に腹ばいになって語り合う姿は、楽しかったです。
久吉はニセ勅旨五右衛門に、数千両と引き換えにしてもお安い古着があると
部下に葛篭を持ってこさせます。中には、久吉が捉えた育ての父・次左衛門!
ややや~これはぁ~!ってことで五右衛門、葛篭を背負って白煙を上げてドロン。

<同 奧庭の場>
久吉は国長(信二郎さん)に勅旨がニセモノだったことを教えますが
庭先を空中に浮かぶ葛篭。場内が暗くなって、葛篭抜けの準備が整うと・・・・
大きな葛篭が吊り上げられて、ジャ~ン!中から、五右衛門登場~!
派手だわぁ~、これぞザ・歌舞伎。まんまと三好兄弟が隠していた印も持っています。
葛篭ごと吉右衛門さま、上がったり下がったり揺らしたり・・ジムに通ったというのも
うなずけるような見事な宙乗りを披露されました。

<大詰 南禅寺山門の場>桜咲く山
せり上がりの山門は浅葱幕で隠されています。
三味線の早弾きのクールな演奏に大きな拍手☆
大薩摩のカッコいい演奏があり、パッと幕が切って落とされると
楼上には、派手な鬘の五右衛門さまが~。「絶景かな、絶景かな」の
名台詞をたぁ~っぷりと聞かせてくれます。「値千金とは小せえ、小せえ」
ハイ、その通り、値万万両の舞台です~。
山門のセットがせり上がると下には浅葱色の巡礼姿の久吉(染五郎さま)
美しい、これはまたかなりお若く見えてしまいます。楼上の五右衛門との
大きさに差を感じてしまうけど、美しいからそれでOK。

ニ、 京鹿子娘道成寺 白拍子花子 福助
   所化 種太郎、廣太郎、米吉、廣松、隼人、児太郎、龍之助

二月の歌舞伎座で玉三郎さま&菊之助さんの二人道成寺を見た記憶が
まだ新しく、違いを感じられると思うので今日の道成寺も楽しみ♪
花道から所化さんたちが「聞いたか、聞いたか」でぞろぞろと・・・
中にチビ所化さん、子供たちがかわいい~。お行儀良く並びます。
紅白幕が落とされると、舞台中央に白拍子花子登場!
福助さんは目が大きくて印象的なお顔立ち、花道の辺りまで出て
鐘を振り返ってひと睨み、凄みがきいてました。乱拍子は謡つき。
チビ所化さんと一緒に舞うところもあり、それぞれ必死な様子。
福助さんの花子は、生々しく人間ぽくて色っぽいなぁ、と強く感じた。
手ぬぐいにチビ所化さんたちのお名前も入ってたようですが
残念ながらGETできず、私は手ぬぐいには縁がないようです。

三、 松竹梅湯島掛額 
「八百屋お七」というと寺小姓吉三郎会いたさに火を点けて江戸を
大火事にしてしまったお話を思い出しますが、歌舞伎では火事は
縁起が良くないのでちょっと変えてあるのですね。
<吉祥院お土砂>見事な天女の欄干のある吉祥院
花道から娘たち登場、お七さんの噂話などをしている。続いて
紅屋長兵衛(吉右衛門さま☆)丁稚長太(廣松くん)おたけ(芝雀さん)
登場、吉右衛門さまぐぐっと砕けた役どころでノリノリ。
ギャグもかなり滑ってると思うんですがそれがまたたのしい。
みんなが心配しているところへやっとお七(亀治郎さん)がやって
きました。恋わずらいで機嫌の悪い困った娘ってとこでしょうか(笑)
久しぶりに亀治郎さんの娘役、なんだかとても可愛く見えました。
八百屋は釜屋武兵衛(歌六さん)に借金がありそれが返せないとお七を
嫁にやらねばならない事情があるのだが、話すと泣くのでその場はごまかす。
お七を妾に出せと言う義経使いの長沼六郎(信二郎さん)がやってくる。
捕まっては大変だ、と紅屋長兵衛(吉右衛門さま☆)はお七を欄干に上げて
天女のふりをさせて隠すことに。なんで隠れるのか承知しないお七を
とにかく隠す。亀治郎さんのわからんちんな若い娘と愛情たっぷりな
紅屋長兵衛の様子がとてもほほえましく、楽しめる。
信二郎さんの使いもコミカルでいて外しすぎず安心して見ていられる。
小姓吉三郎(染五郎さま☆)は可愛い~☆☆☆前髪の少年。惚れるわぁ。
欄干の上から亀治郎さん必死のアピール、とうとう紙つぶてを投げます。
驚く吉三郎、ひとまずお七を降ろします。寺小姓をしているが家宝の刀を
探す大切な目的のある吉三郎。お七と結婚する気はないのですが
迫られて、押し切られちゃいます。気弱な優男っぷりが上手。後ろで紅長
(吉右衛門さま)がお七にあれこれ指示する様子もたのしい。
また長沼六郎(信二郎さん)一行が戻ってくると、ありがたい吉祥院の
お土砂を振りかけます、すると、不思議不思議、みんなクネクネ。
紅長さん面白がって、追っ手だけじゃなくて和尚さんもお七の母や友達も
丁稚(廣松くん)もみんなクネクネにしてしまいます。
花道からおじさんが舞台へ走り込んできます、後からは劇場の制服?を
着た女性も、一瞬びっくりしましたがもちろん演出。クネクネに。
拍子木を打つ人、幕を閉める人、みんなクネクネ、吉右衛門さんが
最後は幕を閉めて、幕。

<火の見櫓>
八百屋にお金を貸していた釜屋武兵衛(歌六さん)が
吉三郎の探している刀を盗んで持っているとわかったのだが
明日の朝6時までにその刀が戻らなければ吉三郎は切腹。
お七はできればなんとか刀を取り戻し届けたい、刀はなくても
ひと目吉三郎に会いたい、しかし夜は木戸は閉まっていて開かない。
開けるためには「死罪」を覚悟で急を知らせる太鼓を叩くしかない。

女中のおすぎとお七、なんとか吉三郎に会いに行こうとするのだが
木戸は開かず・・・この後人形振りです。
人形振りはすごく大変そうです。無表情な顔とカクカクした動き
無表情なのに表情があるように見える人形になって踊るわけです。
すごい技です。踊りの名手、亀治郎さんの独壇場。
最後の太鼓を叩くところでは思いつめた一途な女性を見事に表現して
見ていて苦しくなるくらいでした。おすぎが手に入れてくれた刀を
ひしと胸に抱き、吉三郎もとに向かいます。。。。幕。


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愛染かつら

今月の演舞場は昼夜共にものすごーく楽しめます。
吉右衛門贔屓だったらやっぱり夜の方が面白いですが。
染ちゃん贔屓の私は昼の部の「寿式三番叟」に魂を持っていかれてしまったので(笑)、この演目だけでももっと沢山拝見したかったです。

紅長さんのギャグ、ちょっと叔父様叔母様達には分かり辛いものだったと思います。(笑)
あれはご自身で考えられたのかしら?!
それともお笑い好きな染ちゃんのご指南?!
何のギャグだか分からない方が多かったようですね。
by 愛染かつら (2006-05-20 12:31) 

六条亭

今月のように昼夜とも吉右衛門さんの充実した舞台を楽しめるのは、嬉しいですね。来年以降も五月歌舞伎は吉右衛門さん中心のものになるようです。
三番叟や櫓のお七などで亀治郎さんの活躍も見逃せませんでした。

TBの返しをうちました。
by 六条亭 (2006-05-20 22:48) 

こんにちは!チョンスです。TBさせていただきました。
笑いがたくさん盛り込まれていて、楽しい舞台でしたね!
by (2006-05-21 23:32) 

Ren

愛染かつら さん、TB&コメントありがとうございます☆
本当に楽しい演目で、大満足でした。
昼の部の「寿式三番叟」は評判が高いですよねぇ。あぁ。。。
紅長さんのギャグに、客席の微妙な反応。
それがまた楽しかったです☆
by Ren (2006-05-23 06:49) 

Ren

六条亭さん、TB&コメントありがとうございます☆
「たっぷりと!吉右衛門さん」で大満足でした。
昼の部の「寿式三番叟」がとても気になっているのですが・・・
新橋演舞場には幕見がないのが、残念です。
by Ren (2006-05-23 06:52) 

Ren

チョンスさん、TB&コメントありがとうございます☆
本当に、楽しくて大満足でした。
来年も5月は吉右衛門さんでやるようなので
またまた楽しみです。
by Ren (2006-05-23 06:54) 

かしまし娘

Ren様、まいど!
今月はダッシュで色んな劇場を巡って(笑)いるんですが、事有るごとに思い出すのが『紅長』の吉右衛門ギャグ「かなり~」です!あの播磨屋がこんなこと!目が点になるお客さん、ちょっと間があってハハハ~って笑う。っつう雰囲気は忘れられません!毎日通いたいっ!”日替わりギャグ有り”だし!なんで幕見ないんだぁぁ!
by かしまし娘 (2006-05-23 08:25) 

Ren

かしまし娘さん、今月のスケジュールすごいですね!吉右衛門さんの「かなり~」は正直驚きました。お客さんもすぐ笑えないのがまた微妙。。。
私が行った日は「体が二つ欲しいわい、Yシャツ(襟元開ける仕草)」でした。
日替わりギャグだったというのも播磨屋恐るべしですねw
by Ren (2006-05-24 17:28) 

mami

Renさん、こんばんは。
紅長さんのギャグは、実を言うと私もわからなかったです(笑)。
でも吉右衛門さんがああいう今どきのお笑いをやるというだけで可笑しくて、大笑いしてしまいました。ほんと楽しかったですね。
染五郎も亀治郎も充実していたし、今月は昼夜共に見応えがありました。
by mami (2006-05-25 00:01) 

Ren

mami さん コメント&TBありがとうございます☆
紅長さんのギャグはダレが考えたのでしょう?
吉右衛門さまが最近のお笑い好き?イメージじゃないですよね。
でもスベってもなんでも吉右衛門さまが言えばもうそれでOKでした。
本当にたのしかったです。
by Ren (2006-05-25 07:38) 

HineMosNotari

いいな~ 「値万万両の舞台」! 会社の仕事なんか投げ打って観にいけばよかった・・・(T_T)
去年の弥次喜多で初めてみた 「お笑い」な吉右衛門さん。今年、ここでお会いできるとは思いませんでした。今年9月の歌舞伎座では・・・さすがにお会いできないかな(^_^;)
by HineMosNotari (2006-05-27 22:01) 

Ren

HineMosNotariさん、コメント&TBありがとうございます☆
夜の部4時半からってフツウにお勤めしてたらムリですよね(>_<)
私はお笑いな吉右衛門さまは初めてだったのでかなり驚きました。
でもすごく楽しかったです。スベってもOK牧場~^^
by Ren (2006-05-28 08:46) 

ぴかちゅう

5/19に観た感想をTBさせていただきました。「松竹梅湯島掛額」の方も末尾にリンクありますm(_ _)m
播磨屋さんが若手育成に本腰を入れだしたと感じた五月大歌舞伎でした。いやあ、来年もあちこち踏破しなくちゃいけなくなってしまったようで歌舞伎ファンは嬉しい悲鳴ですね。
by ぴかちゅう (2006-06-01 02:59) 

Ren

ぴかちゅうさん、コメント&TBありがとうございます☆
若手の方と吉右衛門さまパワーで来年も5月は新橋演舞場ですね!
年間チケット計画、ちゃんと立てないと財政難で破綻しそうです(笑
by Ren (2006-06-01 07:09) 

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