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通し狂言 天衣紛上野初花/国立劇場 [歌舞伎]

12月歌舞伎公演「通し狂言 天衣紛上野初花」 (くもにまごううえののはつはな)
公演期間 2005年12月3日(土) ~ 2005年12月25日(日) 国立劇場
平成十七年度(第六十回記念)文化庁芸術祭協賛
河竹黙阿弥=作/河竹登志夫=監修
序  幕 上州屋見世先の場
二幕目 吉原大口二階廻し座敷の場
      吉原大口三千歳部屋の場
      吉原田圃根岸道の場
三幕目 松江邸書院の場
      松江邸玄関先の場
大  詰 入谷蕎麦屋の場
      入谷大口寮の場
         浄瑠璃「忍逢春雪解」 清元連中
松 本 幸四郎
市 川 染五郎
中 村 時  蔵
***********************************************************************
12/14(水)!観てきました☆河内山も通しで観るのは初めて、というか河内山をいつ見たかも
ほとんど記憶にのこっていません。が、「ぶぁあ、かぁぁ、めぇえ~!(馬鹿め)」の台詞はよく覚えて
いました。幸四郎パパのこの台詞は私の記憶している感じと少し違ったので、あれはダレだったの
でしょうか。(相当昔の人なのかもしれません)久しぶりに生でこのキメ台詞を聞いてちょっとした
マイブームです。やりきれないことの多い日常、折々に心の中で反芻しています。

<ここからネタバレです>

序  幕 <上州屋見世先の場>
河内山(幸四郎パパ)が登場するとばぁ~っと明るくなります。この序幕では河内山の髪は少し
伸びてて黒々しています。似合ってるんだか似合ってないんだか、おもしろいです。ちょっと胡散
臭い役で、安物の木刀を質草に50両を要求したりします。べらんめえ口調がとても似合っていま
した。(この口調は本当に染さまとよく似てますね!)娘さんを取り戻すということで上手い具合に
大金をせしめるのですがこの時止めに入る番頭さんの幸太郎さんがいい味をだしていました。
二幕目 <吉原大口二階廻し座敷の場>
国立劇場はセットが少し殺風景というか紙芝居風というか古典手法を守ってるというか・・・で
もう少しこう何か新しい工夫をしてもいいんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。
座敷中央に屏風があって、その影に、染さま☆「飲みすぎて居続けてしまった」なんて色っぽい
台詞とともに登場~。少しワルの雰囲気を漂わせて流し目、やっぱりすごい華があります。
花魁の三千歳は時蔵さん、かわいらしい雰囲気はあるものの、どう見てもあねさん女房よね。
借金が返せないからもう死ぬしかない、と思いつめる三千歳に、「こんなに楽しいことがあるのに
まだ死ねるものか」みたいな直侍。典型的なダメダメ男に貢ぐ女って感じがよくでていました。
<吉原大口三千歳部屋の場>
金子市之亟(左団次さん)押し出しがよくて顔もでかいので立派な風体。時蔵さんの花魁と釣りあう
のはどう見てもこちらでしょう。借金で身動きできなくさせておいて身請けしようっていう作戦は
セコイ気もしましたが。でも河内山が上州屋から受け取った前金で、これも解決してしまいます。
羽織姿の染さまもいいかも~。絶対お金なんて用意できそうにない直さんが百両もの大金をばっと
差し出すところなんて筋がわかっていても、三千歳の嬉しい~気持ちに同調して見ている私も
じ~んときます。よかった。。。この場面も染さまの台詞まわしが好きです。
<吉原田圃根岸道の場>
籠に乗った河内山を直次郎と間違えて、金子市之亟が襲います。キラリと光る刃を見て「星が飛んだか」というのはなかなかの名台詞ですが、なんだかさらっとした場面で終わっちゃいました。
三幕目(河内山) <松江邸書院の場>
わがままなお殿様(彦三郎さん)がこれでもかって感じを出しててとても上手。言うことを聞かない
ヤツはみんなお手打ちにしてくれる!っっみたいな状態。近習頭の高麗蔵さんの若侍姿が好き。
声もよく姿もよく、いいですよね^^。使僧に化けた河内山が乗り込んできて波路を里へ戻すように
要求するのですがこの時の彦三郎さんがまた上手いです。プルプルしながら渋々承服。
<松江邸玄関先の場>
北村大膳に正体を見抜かれた河内山、開き直ってべらんめえ口調で「おれをけえすか、突き出すか
さあ、さあ」とやるくだりはいつみても楽しいですね。ここは幸四郎パパの台詞まわしの妙とそれを
受けとめる幸右衛門さんの見せ場。最後のキメ台詞「ばぁかぁめぇ~」も気持ちよく決まりました。
屋敷の壁が書かれた幕が引かれ、供侍姿の直次郎がやってきます。短い袴のこの格好はなんだ
かとてもカワイらしくて、筋肉質なおみ足も見事です。。。
大  詰(雪夕暮入谷畦道) 
<入谷蕎麦屋の場><入谷大口寮の場>
雪の中、お尋ね者になってしまった直次郎が三千歳の療養している入谷へやってくる。たった20日
会えないだけで病んでしまうのは三千歳の愛の純真さゆえなのでしょうか。「ぶらぶら病」って?
大口屋でちょっとだけ出てきた弟分の丑松(市蔵さん)に再会しますが、丑松も逃亡中のために
すごいぼろぼろで汚い姿です。(そのうえ密告までします)
終盤なのでいろんな要素が盛り込まれててちょっと忙しい場になります。市之亟も寮へやってきて
直次郎と同じ座敷にいるの?でも鳥目だから見えないので大丈夫ってことらしいんですが、それは
ちょっと無理なんじゃないでしょうかね。市之亟は身請けした証文を置いて「幸せになれ」と帰りま
す。実は三千歳と兄弟だった!見ている側としてはえぇ~!?です。でもそうとなれば、二人で
逃げよう、としたところに追手がきてしまって・・・・この立ち回りは早い展開でなかなかのカッコよさ
でした。テンポがいいんですね。そこへ河内山の登場、直次郎は1人逃げる。
直次郎と三千歳と市之亟との三角関係はぜんぜんいいところがないままおしまいです。
最初から最後まで、幸四郎パパがとにかく大きい舞台でした。


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コメント 11

「ぶぁあ、かぁぁ、めぇえ~!(馬鹿め)」ね。
誰にとは言いませんが・・、毎日心の中でつぶやいてます(笑)。
by (2005-12-17 22:19) 

HineMosNotari

TBありがとうございました♪
「星が飛んだか」って、わりと、かっこいい台詞ですよね。
いつもはここがカットになってるの、なんか惜しい気がします。
by HineMosNotari (2005-12-18 00:46) 

Ren

ERUNさん、お久しぶりです~☆河内山はちょっと悪なんですが
軽妙な言葉のやり取りの妙とヒーロー物の爽快感がある演目です。
「馬鹿め」も首尾よく娘を救い出した後だからすっきり気持ちよく聞くこと
ができます。心の声が口から出ないように、お気をつけて(笑)
by Ren (2005-12-18 07:45) 

Ren

HineMosNotariさん、コメント&TBありがとうございます☆
河内山の豪傑ぶりを見せるいい場面で金子くんが少し可哀想かも。
私が見た日は、「星が飛んだか」の後に幕が落ちて月が出たような?
タイミングがちょっと遅かったみたいに感じましたが・・・
by Ren (2005-12-18 07:48) 

こんちわー。TB返させていただきました。私もうさんくさーい幸四郎パパの河内山って気に入っています♪
by (2005-12-18 11:16) 

urasimaru

こんにちは、コメントありがとうございました。
直はん格好よかったですね〜。
ぶらぶら病は、今だとうつ状態?
by urasimaru (2005-12-18 11:43) 

Ren

もーもーさん、コメント&TBありがとうございます☆
ホントに胡散臭い感じがなんか悪の匂いでカッコイイ河内山で
とても楽しかったです。
by Ren (2005-12-18 21:05) 

Ren

urasimaruさん コメントありがとうございます☆
花魁がぶらぶら病になっちゃうくらいですから本当に直はんに
惚れてたってことですよねぇ。悪いオトコ・・でも格好よかったです。
by Ren (2005-12-18 21:07) 

Ren

yukiさん nice!ありがとうございます☆
by Ren (2005-12-18 21:08) 

愛染かつら

TBありがとうございました。
こちらからもさせて頂きますね。

今月の国立は本当に楽しかったです。
全部で3回拝見しましたが、もっともっと観たかった~(笑)
by 愛染かつら (2005-12-25 23:28) 

Ren

愛染かつらさん、コメント&TBありがとうございます☆
今月は国立3回ですか~。すごいです。尊敬。
とても楽しい舞台だったので私ももう一度くらい見たかったです♪
by Ren (2005-12-26 07:12) 

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