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シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」/新橋演舞場 [歌舞伎]

シネマ歌舞伎  野田版 研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)
平成18年2月22日(水)新橋演舞場
作 木村 錦花  脚色 平田 兼三郎
脚本・演出 野田 秀樹

守山辰次 :勘三郎
平井市郎右衛門: 三津五郎
平井九市郎: 染五郎
平井才次郎: 勘太郎
萩の方・およし: 福助
八見伝内・番頭: 弥十郎
おみね: 扇雀
芸者金魚: 芝のぶ
小平権十郎・野次馬: 獅童
役人町田・良観 :橋之助
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演劇、映画の枠を越えた、新しいエンターテインメント“シネマ歌舞伎”
昨年シネマ歌舞伎第一弾「野田版 鼠小僧」が上映され、演劇であり、映画でもありの
新しいジャンルを開いたと思う。要所では人物の細かい表情も確かめられ、全体も見れる。
HD高性能カメラで撮影された高画質の映像と、舞台の臨場感の立体的な再現を追求した音声と
音響は、まさに今上演されているその場に居るかのような迫力です。

木村錦花原作の歌舞伎狂言「研辰の討たれ」を、野田秀樹が、新しく演出した舞台。
平成13年8月の納涼歌舞伎で初演され、大ヒット。平成17年5月歌舞伎座での十八代目
中村勘三郎襲名披露狂言として再び上演された舞台を今回シネマ歌舞伎として上映。

直前になって中村勘三郎さんの舞台挨拶が決定したみたいです。私は22日17時を見ましたが
前日くらいになって松竹のHPで「舞台挨拶の予定」と知りました。17時は上映後、19時は上映前
に、挨拶がありました。二階席二列目花道前だったのでよく見えました。グレーのスーツでした。

野田版というか野田秀樹さんのお芝居を見た記憶があまりないのでもしかしたら初めてかも。
(もし見ていても覚えてないのは見てないのと同じことですね)台詞のテンポもいわゆる歌舞伎とは
ちょっと違って、早口で妙に掛け言葉や言葉遊びが入っている。波田陽区などお笑いのギャグを
ふんだんに挿入し、時事ネタも入っている。昨年の5月のネタなので今見ると少しズレがあるのは
致し方ない。全体的に舞台に人がたくさん出ている。これは現代劇風かもしれない?
背景やセットも、「これぞ歌舞伎」というのとは違うが「やはり歌舞伎」。外してはいないと思う。
終始テンションが高く、役者さんたちも楽しそうに演じていたようです。

野田版研辰の討たれの特徴は、赤穂浪士の討入りと結びつけたことだそうです。
幕があってそこに雪がしんしんと降っている様子がうつしだされています。その幕の後ろに
影絵のように切り合いの様子が現れ、山鹿流陣太鼓が聞こえる中、大石内蔵助や吉良の首を
討ち取る場面に見え、赤穂浪士の討ち入りだなと思っていると幕があがる。そこは城内の道場。
その変化の鮮やかさには感心しました。
道場での平井九市郎: 染五郎・平井才次郎: 勘太郎の手合わせ見本はすばらしい~!
息もぴったりで早いリズムで立ち回り、いやもうお見事という感じでした。染さま素敵♪
萩の方:福助さんが、なにかというと金の扇子を開いてかざし「見事じゃ!」と叫ぶ見得は、この人
以外には考えられないほどのおもしろさ、ぴったりはまっていました。
仕返しのために家老を驚かすためのからくり人形の仕掛けも楽しく、町人と武士の違いを昔仲間に
説かれる辰次の様子もおもしろい。また亀蔵の恐ろしい人形ぶりがすごいのですが、歌もまた面白
くて威嚇してるのですがどこか笑いがこみ上げて本当にすごい!という感じです。三津五郎さんの
家老平井市郎右衛門が供を従えて、踏み板を踏みそうで踏まない愉快な足取りの軽妙さと表情が
もう傑作。
平井兄弟が城を後にして仇討の旅をする場では、廻り舞台をぐるぐる回しながら、兄弟といろいろな
季節の商売の人を行き来させ時間の経過をも感じさせるユニークな演出だなと思います。
宿屋の場では階段上に登場した清太夫が見台をもって辰次のそばまで降りてきて語るという演出。
辰次の勘三郎が糸にのって演技します、ユニークな動きが笑いを誘いました。
偽りの敵討ち話からホンモノの追ってが現れて辰次が逃げ回るところでだんまり。舞台上の人物
全員でウェストサイドストーリーの踊り。
兄弟から逃げて辰次の勘三郎は正面二階席にまで姿を現します。こういう場面はシネマ歌舞伎
ならではのよさがあります。座席の位置に関係なくみんなが辰次を見ることができますから。
谷を渡る渡しの綱が紅白に花道、本舞台、仮花道とはりめぐらされて劇場全体を使っている感じ。
大師堂で辰次が兄弟に捕まり真っ赤な紅葉が舞台奥一面に壁のように飾られている場に変換、
とても印象的。この場も野次馬というか舞台上に人がとにかく多い。いよいよ最後助かったと思った
辰次が次の瞬間風のように戻ってきた平井兄弟に切られる。
胡弓、琴と尺八(たぶん)で歌舞伎っぽくない曲(なんだろう?聴いたことある)が演奏される終幕。

勘三郎さんのお芝居はカーテンコールがあるのですね。(平成中村座でもやってた)
大興奮のお客様と、うれしそうに挨拶する出演者。

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コメント 2

YUMiKO

うわぁ~! これもシネマ歌舞伎になったのですね!
チケットが入手できず、勘三郎襲名披露公演を見逃しているので嬉しいです。ぜひ見たいです~♪
シネマ歌舞伎第一弾「野田版 鼠小僧」は劇場で見ましたが、鼠小僧も面白かったですよ。
by YUMiKO (2006-02-25 15:30) 

Ren

YUMiKOさん、nice!ありがとうございます☆
勘三郎さんの平成中村座NY公演はいまひとつ入り込めなかったのですが
これは面白かったですよ~。もう爆笑に次ぐ爆笑。
「野田版 鼠小僧」は見そびれてしまったのでこれは見れてよかったです。
4月には玉三郎さんの鷺娘をシネマ歌舞伎でやるらしいです。これも見たいです。
by Ren (2006-02-26 20:49) 

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