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曽我梅菊念力弦/国立劇場 [歌舞伎]

国立劇場 一月歌舞伎公演「通し狂言 曽我梅菊念力弦」
http://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu/
そがきょうだいおもいのはりゆみ
作:四世鶴屋南北 補綴:国立劇場文芸課

 菊五郎 :大工六三郎、新藤徳次郎
 團蔵  : 梶野長兵衛
 信二郎 : 山姥の権九郎

 菊之助 :稲野谷娘おその、稲野谷娘おはん
 芝雀  :六三郎女房おきぬ、大磯の虎

 亀蔵  :堤幸左衛門、梶原平三景時
 権十郎 :片岡幸之進、近江小藤太成家
 彦三郎 :福島屋清兵衛
 由次郎 :家主九兵衛
 桂三  :船越十右衛門
 松也  :石部屋倅才次郎、化粧坂の少将

 富十郎 :工藤左衛門祐経、千葉之介常胤
 田之助 :稲野谷後家おかや
 松緑  :曽我五郎時致
 亀寿  :八幡三郎行氏
 亀三郎 :工藤犬坊丸祐友
 尾上右近 :源実朝
 萬次郎 :小林妹舞鶴
***********************************************************************

序幕   第一場 鎌倉雪の下年越の場
      第二場 鎌倉鶴ヶ岡八幡宮境内の場
 二幕目 第一場 石部屋見世先の場
      第二場 同 塀外の場 
三幕       鴫立沢対面の場  
 四幕目      深川仲町洗湯の場
 五幕目 第一場 両国広小路の場
      第二場 松坂町長兵衛内の場
 六幕目      大工町六三郎内の場
 大詰       万年橋初午祭の場

鶴屋南北円熟期の作品「曽我梅菊念力弦(きょうだいおもいのはりゆみ)」168年ぶりの上演。
「曽我物」に「おはん長右衛門」「おその六三郎」の世界を織り込んだ奇想天外な物語。
尾上菊五郎が大工の六三郎と盗賊徳次郎の2役を菊之助がおその、おはんの姉妹2役を演じる。
事前に感想やブログなどをチェックすると筋書きが込み入っていて難解とのこと。お正月に
TV放映もあったが見ていないため早めに劇場に行って筋書きを購入して読むことにして正解。
最近菊之助ら若手をメインにしている感じのした菊五郎劇団だが今回の主役はもちろん菊五郎。
いなせな大工姿もキリリと決まり、おそのでなくても「惚れる、惚れる」。徳次郎も盗賊ながら
憎めないキャラで心中事件の場と子殺しはカットされていたので悪さより人間味を感じる役どころ。
親子のラブシーンは照れるのか想像したより色っぽくないので少し物足りなくも思ったが
おそのにしてもおはんにしても、いいのか?そんなことで?と突っ込みを入れたくなる(笑)。
序幕で六三郎に助けられたおそのは「お礼なら今すぐできる・・・・」で番屋で××。えぇ?
いくら恩人だからってちょっと軽いんじゃないの、「夜鷹じゃない」って言ったのは何だったのよ。
石部屋ではおはんはとんでもない容姿の息子にいやいや嫁がされたのは不幸だと思うけど
だからって押し入ってきた盗賊の頭徳次郎に帯くるくる~で着物を脱がされ酒を飲まされ、あげくに
お互い瞬時に懸想して「もしあなた、ようおいでなさりました」、で関係しちゃうのはないでしょう。
この場では白無垢姿もあって菊之助の美しさに惚れ惚れするのと、松也さんがすごいことに!?
盗賊の一味の権九郎役の信二郎さん、二枚目っぽいイメージだったのですが色ワルの気配
黒装束も雰囲気たっぷりでとてもいい感じでした。同じく盗賊仲間では團蔵さんの梶野長兵衛。
やってることは憎憎しくて同情の余地がないのですが憎めないキャラというか菊五郎さんとの
ポンポンとしたやりとりの妙や場の空気などとてもすばらしかったです。
お正月らしい豪華な衣装もとても嬉しく思う、松禄さんの出番が少なく思ったのだが(2場)
眼の覚めるようなグリーンの小物を挿し色に赤い着物に黒地に蝶をあしらった裃のよく似合うこと。
丁寧に演じていて、台詞もしっかりしていたし、本当にこの方は上手くなりましたよねぇ。
松也さんの化粧坂の少将の美しいことといったらもうため息もの。石部屋息子の埋め合わせ?
このまま踊りや台詞、芝居を磨いて、菊之助の美相手役に成長してくれたら・・・と期待しています。
大詰は、菊五郎劇団の見せ場、大人数での立ち回りの素晴らしさです。こうしたシーンの音楽も
重要ですね。テンポよく進む立ち回りとノリの合った太鼓。京劇やミュージカルに通じるシーンに
仕上がっていました。江戸の風物詩・初午稲荷祭の地口行灯や、「よき(斧)こと菊」の文字入傘、
舞台中央に設えた二段の藤棚の立ち廻りは迫力満点!最後はめでたし、めでたし・・・・・

一階10列花道近くでしたがみな私の頭上を越えて行ったので手ぬぐいはGETできませんでした。
 

真名本 曾我物語〈1〉

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1987/04
  • メディア: 単行本


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ao-lovestory-dvd

こんにちは(^_^)
私は歌舞伎は詳しくはないのですが、歴史が好きなので(偏ってますが…)
曾我兄弟の仇討が色々な歌舞伎の名目になっているんだと
親しい人から聞きました。
というのも先月、箱根神社に参拝したのですが宝物館に期間限定の
日本三大仇討の展示物があって、箱根駅伝のコースにもなってる道に
曾我兄弟のお墓があったので、色々聞きました。
一緒に行った人は歌舞伎に詳しい人だったのですが、
有名な助六も、曾我兄弟の話だったとは!!驚きでした。
お寿司の助六が恋人の「あげまき」からきてて、
(いなり寿司=あげ・海苔巻き=まき)だったというのを聞いて
日本語の「粋」にもちょっと感動した次第でした。
by ao-lovestory-dvd (2006-01-21 06:45) 

Ren

あおさん、コメントありがとうございます☆
期間限定の展示でちょうどご覧になったばかりとはタイムリーですね!
曾我兄弟の仇討ちはとても有名なお話で馴染み深いのですが
この歌舞伎ではちょっと脇筋にされてる感じでした(笑
曾我兄弟なのに、お兄さんの方は登場しないんですもの。。。。
by Ren (2006-01-21 08:37) 

恵美

Renさん、こんにちは!
>「お礼なら今すぐできる・・・・」で番屋で××。えぇ?
やはり思いましたか?!・・・まったく(笑)
ど~して歌舞伎に出てくる娘は(特に姫!)あ~も大胆なんでしょね ^^ 。
話しの展開が速い!という点では納得(これが長いと辛い)なのですが・・・
つい、笑ってしまいます ^^ 。
もちろん!コミカルで美しい菊五郎劇団が大好きっ♪です!
それと、立ち廻りですよね ^^ 。
十二夜はカットされちゃってて・・・淋しかったですから、
児雷也、京人形、曽我梅菊と大満足しております。

浅草と国立に行かれたのですね、私も同じです。趣味が合いますね♪
浅草については、そちらにコメントさせていただきます。
by 恵美 (2006-01-21 10:09) 

ShyBoar

Renさん、こちらにもお邪魔します。
確かに「おいおい!」とツッコミを入れたくなる所も多い芝居ですが、それはそれで楽しい面もありますね。「子殺し」もカットして正解だと思います。
また、團蔵さんは良い味出してるなあと私も思っていました。
by ShyBoar (2006-01-21 10:15) 

豆太郎

こんにちは。お邪魔させていただきます。
やっぱり、おそのさんとおはんちゃんの「一目ぼれ」の思い切りの良さには突っ込みを入れたくなりますよね(笑)
筋は複雑で、人に話すのは難しいですが、観たら面白さは一目瞭然ですね。
もう一度観たいですが、国立劇場の演目はなかなか再演されないとか・・・、次はまた168年後だったりして(^^ゞ

トラックバックさせていただきます♪よろしくお願いします<(_ _)>
by 豆太郎 (2006-01-21 13:34) 

曾我物語は歌舞伎だけでなく、人形浄瑠璃にも大きな影響を与えた作品。
う~~~みたいなあ~~!
歌舞伎の舞台美術(セット)を担当してるのが、知り合いなので、
どんなセットかも見てみたいです!
by (2006-01-21 13:38) 

みしま

TBありがとうございました。
音羽屋親子はもちろん魅力的でしたが、信二郎の悪役が良かったですねぇ。
彼には、黙阿弥の白浪ものなんかにチャレンジしてもらいたいと思いました。
by みしま (2006-01-21 19:38) 

Ren

恵美さん、コメントありがとうございます☆
>コミカルで美しい菊五郎劇団が大好きっ♪それと、立ち廻りですよね ^^
私もそう思います!通し狂言で4時間半も飽きさせずにひっぱってくれるのは
素晴らしいですよね。そして立ち回りの派手さ見事さも本当にすごいです。
お稽古大変なんでしょうねぇ。。。。これからも楽しみにしています。
by Ren (2006-01-21 20:39) 

Ren

ShyBoarさん、コメント&TBありがとうございます☆
お話が絡み合って進むので少しわかりずらい部分もありましたが
面白かったですね。南北風に色気も重視してほしかったけど
やりすぎるとお正月向きじゃなくなっちゃいますからね。
團蔵さんは本当にいい味をだしていました、舞台が締まる感じです。
by Ren (2006-01-21 20:45) 

Ren

豆太郎さん、コメント&TBありがとうございます☆
そんな簡単に惚れちゃって・・・(笑)しかも刺青まで入れちゃうんですから
歌舞伎の中の女性はすごい情熱タイプです。
友達にあらすじを話すのは難しいですね、話すより「見て!」と
ムリヤリでも見ていただきたいと思います。楽しめるハズ。
by Ren (2006-01-21 20:48) 

Ren

fumilinさん、nice!&コメントありがとうございます☆
舞台美術さんとお知り合いなのですね。通しだと場面が多いので
この作品は10場だと思いますが、たくさんのセットがあって面白いですよ!
by Ren (2006-01-21 20:50) 

Ren

みしまさん、コメントありがとうございます☆
信二郎さん、よかったですね!今まではどちらかというとマジメな二枚目の
イメージを持っていたのですが盗賊姿もきまっていてワルな雰囲気が
とてもいい色気になっていたと思います。白浪もの、見てみたいです。
by Ren (2006-01-21 20:52) 

TBありがとうございました。

こんにちは。カゲトラです。
TB&コメントいただきありがとうございました。
鶴屋南北らしい難解な物語かと思いきや、実際見てみると違和感ない展開
でしたね。
オイラも團蔵さんと信二郎さんが光ってたなぁと感じました。
展開的にも偶然が重なりすぎて「そんなうまく行くのかねぇ…」って思う所も
たくさんありましたが、それが歌舞伎らしくてヨカッタかも。

最後の大立ち回りは菊五郎さんもチョット息が上がってましたがキレイに
決まって面白かったデス。

またよかったら気軽にTB&コメント下さいね!
by TBありがとうございました。 (2006-01-22 09:07) 

Ren

カゲトラさん、コメントありがとうごさいます☆
やはり團蔵さんと信二郎さん光ってましたよね!うん、うん♪(嬉)
最後の立ち回りは傘を開いたままとんぼで藤棚2階から降りたり
三階さんたちの見事な技がたくさん詰まっていて大満足でした。
またうかがわせていただきます。よろしくお願いします。
by Ren (2006-01-22 09:55) 

TBありがとうございます。もう一月も終わりですが、気がついてみれば
歌舞伎を訪ねて東に西にと忙しい一月でした。その中での国立劇場の
印象って…。ということでTBさせていただきます。
by (2006-01-30 02:40) 

Ren

ハンナさん、TB&コメントありがとうございました☆
東に西に・・本当にたくさんご覧になっているので
いつも楽しく拝見させていただいています。また伺います☆
by Ren (2006-01-31 06:34) 

かしまし娘

Ren様
おひさしぶりでございます!!
こちらからもTB返しさせて頂きました。
ほとんどの記憶が消えていたので、TV頼みで書いたのですが、
大詰無いし…!チェッ。そーそ、もう1度観たかった風呂場無いし!

「真名本 曾我物語〈1〉」って!難しそうな…しかも、
1ってことは続きがあるのですねぇぇ!!
探究心ゼロの私は、ただ表紙を眺めているだけです(笑)
by かしまし娘 (2006-02-07 08:33) 

Ren

かしまし娘さん、コメント&TBありがとうございます☆
ブログいつも楽しく拝見して1人で笑っております。
私はTV放映を録画し忘れてしまって痛かったです。
何で大詰めなかったのかしら?ネタバレだから?
by Ren (2006-02-07 21:46) 

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