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團菊祭五月大歌舞伎夜の部/歌舞伎座 [歌舞伎]

團菊祭五月大歌舞伎  歌舞伎座
平成18年5月1日(月)~25日(木)
一、 傾城反魂香
将監閑居の場
ニ、 上、保名  保名 菊之助
   下、藤娘 藤の精 海老蔵
三、 黒手組曲輪達引
浄瑠璃「忍岡恋曲者」清元連中
************************************************************************
5/13(土) 夜の部  生憎の雨、地下鉄の出口階段は昼の部が終わって帰るお客さまと
これから向かうお客さまで超混雑。雨を避けて屋根のあるところはすごい人、新橋演舞場の
月曜日のチケットを発券するために人波を掻き分けて発券機までたどり着く。まもなく開場。
今日のお席は二階、めでたい焼きを購入するために急いで三階廊下へ。間の休憩時間に買おう
として売り切れだったことが続いたため、開演前に食べることにしました☆パリパリの皮が美味
雨で寒かったので暖かいものがおいしいかったです。

一、 傾城反魂香  将監閑居の場
トラが逃げ込んだと言って村の人がやってきて土佐修理之助(梅枝さん)が応対するところから
お話は始まります。梅枝さんすっとした若者姿でいい感じです。女形志望らしいのですが立役も
いけそうです。土佐将監(彦三郎さん)はちょっと台詞が聞きにくいところがあって残念でしたが
いろいろあって蟄居させられてる絵師の苦々しさみたいなものがよく出ていました。
逃げ込んだトラは狩野氏名作の絵のトラで、見事修理之助が消してみせる、という手品みたいな
仕掛け。この功績によって修理之助は土佐の名字と印加を受けることになり、そこへ浮世又平
(三津五郎さん)と女房おとく(時蔵さん)が訪ねてくる。土佐の名字を受けたいため通ってるのだ。
吃音の又平に代わってする時蔵さんの挨拶がこれまた長い台詞なのですがすらすらすら~っと
出てきます。ほほえましい。そして一生懸命夫に土佐の名字を許してくれるように師匠に願いで
るのですが叶わず、むしろ厳しく否定されてしまいます。
狩野雅楽之助(松緑さん)が銀杏の前がさらわれたと告げにやってきます。花道からだっだっだっ
いい声ですねぇ。松緑さんは踊りもお上手なので型が決まってとても素敵でした。姫を救い出し
てくれるように 将監(彦三郎さん)に頼んで行ってしまいます。
又平(三津五郎さん)はそのお役目を自分に、と必死に師匠に食い下がりますが、これまた無視、
修理之助を使者にします。又平の必死の願いも虚しく師匠は奥へ。
残された又平とおとくは、最早今生で願いの叶うことはなし、と死ぬ覚悟を決めます。最後にと手水
鉢に自画像を描く又平。渾身の自画像は、なんと手水鉢のウラに書いたものが表へと移った!
三津五郎さんの放心した様子がすばらしかったです。かいがいしく世話を焼くおとくもいい。
この奇跡によって、又平は土佐の名字を許され、銀杏の前を救いに行くように申しつけられます。
喜ぶ又平、温かい目で見守る将監、大切なお役目であるからと自らの裃を与えます。舞台上で
着替えをするのですがこの所作が美しい。おとくは介添えをするのですが出すぎず的確。
時蔵さんが鼓を打ち、三津五郎さんが大頭の舞を舞います。こういう場は三津五郎さんのいいとこ
に魅せられます。お話自体はあまり好きではありませんが、役者さんに魅せられました。

ニ、 上、保名   保名 菊之助
   下、藤娘   藤の精 海老蔵
客席の照明が落ちて、真っ暗になります。私は暗いのが苦手でどきどきしてしまうのですが
真っ暗な中に清元が響きます。やがて舞台奥から明かりがつき始めて、保名(菊之助さん)登場。
恋人の形見のオレンジ色の小袖、藤色と紫の長袴乱れた髪には紫の鉢巻、菊之助さん美しい。
美しすぎるからかあまり狂人という感じはしない。片足を前にして長袴の裾を前後にまっすぐに
する難しいポーズもきっちりキメて、どちらかというと冷静に舞っているようにも見えてしまった。
ラストは形見の小袖を被って舞台に倒れこんだまま、暗転。
また真っ暗。場内がぱぁっと明るくなると、舞台は松の大木と美しい藤の花がいっぱい。
そして黒い塗り笠を被って藤の枝を手にした海老蔵さん、登場~!想像していたよりもずっとずっと
美形の女形さんになっていました。顔はばっちりです。丸顔のイメージだった海老蔵さんですが
細面の美人さん。黒の着物で視覚的に締まって見えるのもよかったのかも。舞台には1人なので
他の人と比べられないから体の大きさなどが気にならない。松の木も大きく作ってあったとか?
着物も黒→オレンジと緑→紫→赤と変り、その都度、ほぉ~。後ろ姿の背中や肩がごついところや
袖の使い方が慣れていない感じは仕方ないのかな。新しい挑戦ですから。

三、 黒手組曲輪達引    浄瑠璃「忍岡恋曲者」清元連中
<序幕 忍ヶ岡道行の場>
新造白玉(菊之助さん)は番頭権九郎(菊五郎さん)を騙して吉原を抜け出してきたところ。
菊五郎さんのブ男の化粧がすごい。そしてノリノリで役を楽しんでいるのが伝わってくる。
白玉には実はワルな恋人がいるのだが権九郎はそんなことは知らず、江戸を離れて上方で
夫婦になろうとにやにや喜んでいる。路銀はあると見せているとそこへ恋人の牛若伝次(海老蔵
さん)がやってきて財布を取り上げ、池に叩き込んでしまう。ヒドイことするもんだ。
海老蔵さんと菊之助さん、二人並ぶとまさに美男美女。何をしても絵になりますね。海老蔵さんの
ワルい男も素敵だけど少し硬い、昼の部の武士の意地を見せてたお役の方が合ってていいかも。
追ってがやってきて白玉は捕まり、伝次は逃げてしまいます。その後・・・ちょっと暗くなって
「ツゥラトストラはかく語りき」(2001年宇宙の旅でおなじみの)が流れ、舞台には宇宙っぽいライト
まで照らされる中、矢ガモの着ぐるみを着た菊五郎さんせりあがって登場。爆笑。
さらに「恋のダウンロード」の下座音楽に乗ってのダンス。花道をはけていくときには「暑い~」と
顔を見せてくれていました。菊五郎劇団らしい遊びですが、矢鴨はどうなんですかねぇ。
<新吉原仲の町の場>
朝顔仙平(亀蔵さん)たち新左エ門の門弟一同は、白酒屋の新兵衛(橘太郎さん)に言い立てを
させただ酒を飲んだうえ、打ちのめして引き立てようとしていた。これを止めたのは花川戸助六
(菊五郎さん)。先ほどの権九郎とはまったく逆のカッコイイ役に変身。これはやってて気持ちよい
だろうなぁ。散々仙平たちを打ち、白酒屋に謝らせ、さらに股くぐりをさせる。新兵衛に話を聞くうち
に助六は父の仇の手がかりを得る。そして新兵衛が恋人揚巻の父であることも知る。新兵衛役の
橘太郎さんはちんまりと座っているだけでなんだかおもしろい味のある役者さんですね。
そこへ紀伊国屋文左衛門(梅玉さん)先ほどからの短気を諌め、助六の脇差に封印をする。
<大詰 三浦屋格子先の場>
逃げ出して連れ戻されたがお客を取らない新造白玉(菊之助さん)を遣手お辰(鐵之助さん)が
叱っている。しれ~っとした白玉の様子がおもしろく、鐵之助さんのお辰の表情もいい。格子先に
は他の新造と白玉、そこへ二人の禿に連れられた助六がやってくる。真っ赤な着物の禿の子が
可愛い。吸付煙草の故事の話から煙管を用意していると・・先ほど門弟をなぶられた鳥居新左衛
門(左團次さん)一行、なんとか意趣返しをしようと喧嘩をふっかけてくる。足に煙管を挟んで渡し
たり下駄を頭に載せたり。助六が我慢の限界となったところへ揚巻(雀右衛門さん)が止めに入る。
花魁姿、あでやかです。すごい素敵。この方おいくつになったんでしたっけ?美しいですねぇ。
悔しい新左衛門は揚巻を身請けしようとするが、それも紀伊国屋文左衛門さんに先をこされて
助六の眉間に傷をつけて去っていく。左團次さん憎憎しい敵役を好演していました。
新左衛門こそ親の敵、しかし助六の脇差には封印があるのだ。三浦屋女房お仲(田之助さん)が
これを外して、追いかけていきます。
ここまでで終わりだと思ってしまったのでしょうか?それともお時間だから?席を立つ方が
ちらほらといらっしゃいました。お話としてはここで終わりでもいいのでしょうけれど次幕の立ち
回りもおもしろいのになぁ。
<大詰 仕返しの場>
屋根の上のセットでの立ち回り。菊五郎劇団ならではの華やかさ楽しさが見られます。
とんぼを切って、下に落ちる。桶を手に手に、助六に次々と襲い掛かる。亀蔵さんは青い小袖を
被って登場、小袖を取ると赤いふんどし姿。また脱がされちゃってますね。
桜の花びらが舞い散る中、新左衛門との敵討ち。桶を手に形を作って、キメポーズ。幕~。


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HineMosNotari

「黒手組」の菊五郎さんのお遊び、楽しかったんですが、たしかに「矢ガモ」は
ちょっとブラックですよね~<(ーー;)

三浦屋の屋根の上の立ち回り、その前の場で舞台の下手に三角形に積み上げてあった桶を使って菊五郎さんと立ち回る菊五郎劇団のみなさんですが、
ところで、あれは何のお役なんでしょう?
別に「役所の追っ手」 というわけでもなし、新左衛門さんとこの門下生・・・という感じでもないですし。うーん、筋書きには書いてあるのかな?
by HineMosNotari (2006-05-14 23:40) 

愛染かつら

こんばんは。
めでたい焼き、焼立ては本当に美味しいですよねぇー。
最近は3階がすっかり定位置になってきていますねー。
今月はゆであずきも3階でしたね。

傾城反魂香は私もお話自体は好きではありませんが、本当に役者さん達で見せられたという演目でしたね。

下座音楽での「恋のダウンロード」も面白みがありましたね。
矢鴨はかなりのブラックジョークだったと思いますが、きっとこれを考えられた時に上野の不忍池での騒動があったのでしょうねぇ。
by 愛染かつら (2006-05-15 00:55) 

TBありがとうございます!

めでたい焼きを今月久しぶりに食べました。
とっても美味しかったですね。

雀右衛門の揚巻をしっかり目に焼き付けました。
う~ん、矢ガモの件は忘れることにします…。
by (2006-05-15 18:24) 

mami

Renさん、こんにちは。
めでたい焼き、美味しいですよね~。
でも超猫舌の私は、昔焼きたてにかぶりついて口の中を火傷しました(>_<)お気をつけ下さい(笑)。

「黒手組」は理屈抜きで楽しみました。
菊五郎さんのあのサービス精神には脱帽です。

TBさせていただきます。
by mami (2006-05-15 18:41) 

六郎

大変ご無沙汰しております。
私も13日の夜の部を拝見しておりました。

大詰前に席を立ってしまった方の話題がありましたが、
実は私も三浦屋の場面で終わりだと勘違い、立ちあがりかけてしまいました(^^;
幸い、周りの席の方が落ち着いて座ってらしたので、
そのまま劇場を後にする事は無かったのですが・・・
何故間違ったかというと、三浦屋の場面までで話がまとまっていたというのもあるのですが、それより何より、幕が閉まった直後に時計を見たら、終演予定の5分前だったので、早めの終演なのだと思い込んでしまったのです。
私と同じ勘違いをして出て行ってしまった方もいらしたのでは??
あの爽快な立ち回りは、見ないと勿体無いですよね。
by 六郎 (2006-05-15 22:52) 

Ren

HineMosNotariさん、TB&コメントありがとうございます☆
筋書きによりますと「新左衛門の門弟を斬り払い」となっていますので
桶を持った方たちは門弟のお役ということらしいです。
しかし、なぜ桶?(笑
by Ren (2006-05-16 07:26) 

Ren

愛染かつら さん、TB&コメント&nice!ありがとうございます☆
寒かったし夕方で小腹も空いててめでたい焼きがおいしかったです。
三津五郎さんの大頭の舞、素敵でした。本当に型の美しい方ですよね。
下座音楽が楽しいのも菊五郎劇団っぽくてよかったです。
by Ren (2006-05-16 07:29) 

Ren

ハンナ さん、TB&コメント&nice!ありがとうございます☆
雀右衛門さんの揚巻は、本当に豪華な美しさでした。
存在感十分で出てくるだけでぱぁ~っと華やかになりますね。
by Ren (2006-05-16 07:31) 

Ren

mami さん、TB&コメントありがとうございます☆
めでたい焼き、中が熱いですよね!そこがまた美味しいのですが
やげどには要注意ですね(>_<)
「黒手組」は菊五郎劇団らしい楽しさたっぷりで、満喫でした☆
by Ren (2006-05-16 07:33) 

Ren

六郎 さん、コメントありがとうございます☆
夜の部の終演が9時すぎですし、三浦屋の場面でちょうど終わりという雰囲気になったので、「これでおしまい」と思ってしまうのはよくわかります。私も筋書きを読んでいなかったら、席を立ったかもしれません。大詰めの立ち回りは本当に爽快、菊五郎劇団らしい終わりで大満足でした。
by Ren (2006-05-16 07:38) 

かしまし娘

Ren様、まいど!
菊五郎、もうこのキャラでイイって感じ(笑)
2枚目より3枚目を極めて欲しいです!音羽屋~。
不忍池に、ビッグ矢ガモくんを探しに行ってしまおっかなぁ(笑)
by かしまし娘 (2006-05-17 08:50) 

ぴかちゅう

TBもさせていただきました。イヤホンガイドがないと本家「助六」のどこをパロディにしているかがわからなかったと思います。だって本家も海老蔵襲名で一度しか観ていないものですから(^^ゞ
「恋のダウンロード」もなぜあの場面のBGMにしたのかひっかかって丸一日。ようやく気がつきました!菊五郎さ~ん、難しかったよ~。でも歌舞伎初心者でもよくわかっている人でもそれぞれ楽しめるというところがいいと思います。
最後の大立ち回り、三浦屋の屋根の上で天水桶があちこちに見えたのでこれで火事対策をしていたんだなあとか感心してました。そこで桶を持って門弟の姿の四天さんが登場したので上手いなとまたまた感心。女郎部屋にしけこんでいたところを襲われたので亀蔵さんは小袖を着ていたのをはがされたんでしょうとかいろいろと味わうことができたのも面白かったです。
by ぴかちゅう (2006-05-18 00:46) 

Ren

かしまし娘さん、TB&コメントありがとうございます☆
いつもながら菊五郎劇団のお遊び精神には感服しました~。
夜の部の締めは「黒手組」なので、楽しく、笑って
ものすごくすっきりした気持ちで歌舞伎座を後にしました。
by Ren (2006-05-18 08:40) 

Ren

ぴかちゅうさん、TB&コメントありがとうございます☆
「黒手組」は華やかで明るく楽しい演目でしたね!
今月は歌舞伎座の昼夜、演舞場と、どれも大変興味深く面白いのですが
迷った末、来週もう一度歌舞伎座の夜の部を観ることにしました(笑
海老蔵さんの「藤娘」も気になるし「黒手組」、もう一回観たくて行ってきます。
by Ren (2006-05-18 08:44) 

mami

すみませんっ。TBしますと言ってしてませんでしたm(_ _)m
改めてさせていただきました。

もう一回観に行かれるんですか?うらやましいです~。
「黒手組」もさらにヒートアップしているかもしれませんね。
by mami (2006-05-18 23:47) 

Ren

mami さん、ありがとうございます☆
勢いで今度の月曜の夜にもう一度行くことにしてしましました。
海老蔵さんの藤娘の進化も楽しみですし、「黒手組」は何度見ても
楽しいだろうなぁっと思います♪
by Ren (2006-05-20 07:23) 

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